育休明けで復帰したものの、勤務条件が合わなかったり子育てに理解がなかったりする職場の場合、転職をするママは多くいます。

そのとき、「社会保険はどのようになるのか」を考えなければいけません。なぜなら切れ目なく転職できればいいのですが、退職から転職までに期間がある場合、社会保険を支払う必要があるからです。

では社会保険や住民税などの支払いはどようにすればいいのでしょうか。ここでは育休明けで退職する際に関わる社会保険や住民税について詳しく解説していきます。

育休明けで転職すると社会保険はどうなる?ワーママの社会保険(年金・健康保険)を解説

育休明けで育児と両立が困難となり転職するママはたくさんいます。そのとき今の職場を退職後、切れ目なく次の職場に転職できれば問題はないです。しかし一旦退職して次の職場に入職するまでに期間がある場合、その間の社会保険は自分で加入しなければなりません。

その場合、自分で手続きが必要なものは以下の4つになります。

  • 健康保険
  • 国民年金
  • 所得税・住民税など税金
  • 失業保険

・健康保険の加入

まず健康保険の加入手続きについてです。健康保険は会社に勤めている人は社会保険に加入していますので、会社で手続きし加入しています。しかし退職するときに健康保険証は返却となり、会社の健康保険の被保険者資格は失います。

その後何も健康保険に加入していないと病気になり病院にかかった時に全額負担となります。いつ病気になるのかは誰にもわかりませんので、必ず健康保険の手続きをするようにしましょう。

退職後の健康保険は「国民健康保険」「任意継続制度の利用」「夫の扶養に入る」という選択肢があります。

・国民年金加入

国民年金の手続きについては「国民年金に加入する」「夫の扶養に入る」という2つの選択肢があります。支払わなければ将来の年金額にも影響しますので、できれば支払うことをお勧めします。

また夫の扶養に入るという選択もあります。その場合は夫の職場で手続きをしてもらうことになります。

・住民税

会社に勤めている間の住民税は基本的に給料から天引きで納付しています。住民税の支払いは1月から12月までの1年間の所得に対して課された税額を、翌年6月から翌々年の5月までに納めることになっています。そのため退職したときに5月までの残額を自分で納付する必要があります。

・失業保険

退職日から10日以内を目途に離職証明書が送られてきますので、書類が届いたら住んでいる自治体のハローワークで失業保険の手続きを行います。

退職後にまだ転職先が決まっていないママは速やかに手続きを行い受給できるようにしましょう。ただし受給できるのは手続きから2ヶ月後となります。

育休明けで転職すると社会保険料(健康保険・年金)はどれくらいになる?

前述しました通り、社会保険(健康保険・年金)にはいくつか選択肢があります。退職したママの場合は社会保険料はどれくらいかかり、何に加入すればいいのでしょうか。前年度の収入や入る保険によって保険料は異なりますので以下に解説していきます。

・健康保険

まず健康保険についてですが、「国民健康保険に加入」「任意継続制度の利用」「夫の扶養に入る」という3つの選択肢があります。

国民健康保険に加入すると前年の所得を基準に保険料が決まります。そのため育休等で所得がほとんどなかった場合、かなり保険料は安くなります。 国民健康保険については各自治体で計算方法が異なりますので市役所で算定してもらうことになります。

一方、任意継続制度を利用の場合の保険料は各健康組合によります。そのため各保険組合に問い合わせが必要ですが、今まで会社で支払っていた保険料の2倍になります。これは在職中は会社が半分保険料を負担してくれていたためです。

例えば以下は大阪市で月給20万円の人の国民健康保険の加入と任意継続制度(協会けんぽで健康保険料率が10%の場合)を利用した際の保険料の違いの例です。

このように月給20万円の場合、国民健康保険の方が安くなっています。さらに育休などで収入がなかったママにとって、任意継続制度を利用するより国民健康保険に加入した方が保険料は安くなります。これは国民健康保険では前年度の収入で保険料が決められるためです。

ただし、子供を扶養しているママの場合は国民健康保険の方が高くなる場合がありますので注意が必要です。健康保険料の計算は各自治体で違いますので、正確な保険料を知りたい場合は市役所で算定してもらいましょう。

また転職を考えているママの場合、次の転職先に入職するまでの期間の社会保険加入になりますので、一次的な加入ということになります。その場合、夫の扶養に入る方がいいかもしれません。ただし、夫の扶養に入ると失業保険が受給できなくなるケースもありますので注意が必要です。

・年金

では次に年金についてです。年金は「国民年金に加入」「夫の扶養に入る」という2つの選択肢があります。

国民年金は会社を退職したら14日以内に切り替えの手続きを「市役所の国民年金担当窓口」で行う必要があります。もし金銭的に支払うのが困難であれば、国民年金は2年まで遡って支払うことができますので、就職してから支払うこともできます。

育休明けで転職しても条件を満たせば失業保険はもらえる

では次に育休明けで退職後に失業保険はもらえるのでしょうか。育休明けでも条件を満たしていれば失業保険はもらえます。以下は失業保険を受け取れる条件です。

  • ハローワークで休職の申し込みをしており現在失業中である
  • 自己都合による退職の場合、離職日以前の2年間に被保険者である期間が通算で12ヶ月以上ある
  • 自己都合以外(リストラ・倒産・解雇など)の退職の場合、離職日以前の1年間に被保険者である期間が通算して6ヶ月以上ある
  • すぐにでも働ける状態である

以上が失業保険がもらえる条件になりますので、条件を満たしていれば育休復帰して時短勤務をしていても問題なくもらえます。

ただし失業手当は直近6ヶ月の給料で計算されます。そのため育休明けで時短勤務をしていれば給料は25%減給になっているため、受け取れる額も直近がフルタイム勤務の場合より少なくなります。

なお育休明けで半年しか働いてない場合でも、失業保険を受け取れる可能性は高いです。育休中は賃金の支払いがないため雇用保険に加入していても被保険者期間には入りません。

ただし、病気・怪我・出産育児のため引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった期間がある場合、算定期間を最大4年間延長されます。

そのため育休を取得していても過去最大4年間での条件になりますので、育休中や育休明けであっても失業保険を受け取ることはできる場合が多いです。

また育休明けで退職し「しばらくは専業主婦をしよう」と考えているママは失業保険は当然ながら受けとることはできません。失業保険の条件は「失業中であり、すぐにでも働ける状態である」ことですので働く意思がない場合は受け取れません。

また育休明けで退職するママは子供を保育園に預けている場合が多いですが、育休中で退職し、保育園がまだ決まっていないママもいます。

その場合「すぐにでも働ける状態である」という条件に当てはまらないため、条件を満たしていないと受け止められ受給できない可能性があります。

この対応は各地域のハローワークによって異なります。保育園に入園できていない場合、失業保険申請の際に子供を連れて行かざるを得ないことがあります。以下は私の子供の乳児の時の写真です。このようにベビーカーでハローワークに行くと、就労がすぐにできる状態ではないと思われてしまいます。

そのためハローワークに行く際には「一時預かりの利用」や「親に預ける」などする必要があります。子供が保育園に入っていなくても受給できる地域もあり、これは地域差によることがあります。

また、離職後すぐに働かなくても失業保険を受け取れる期間は「離職日の翌日から1年間」になります。そのため半年間仕事を休んでも、ハローワークで申請すれば失業保険を受け取ることはできます。

しかし、再就職のためにはまずは保育園に預ける必要がありますので保育園などの預け先の確保は重要です。

また前述した通り夫の扶養に入ると失業保険が受給できなくなる可能があります。ただし条件次第で受給できる可能性がありますので以下で解説します。

育休明けで退職後、夫の扶養に入って失業保険をもらえるのは条件次第

育休明けで退職して、ハローワークに失業保険の申請をしても自己都合の場合、実際に受け取りができるのは2ヶ月後になります。

その間夫の扶養に入るママもいますが、夫の扶養に入りながら失業保険をもらうことはできるのでしょうか。夫の社会保険の扶養に入るためには以下の条件が必要になります。

  • 年収が130万円未満
  • 夫の年収の1 /2未満

この130万円未満は「現時点から今後の見込みが130万円未満」ということになります。失業手当も収入とみなされますで、失業保険の受取額が130万円未満である必要があります。

130万円÷365日で計算すると3612円 /日となります。

つまり、失業保険の日額が3612円未満であれば年収が130万円未満とみなされ、失業保険を受け取りながら扶養にも入れることになります。

この条件が満たされず扶養に入れない人もいます。その場合は失業保険が支給されるのに2カ月かかりますので、その間は夫の扶養に入り失業保険が受け取れる期間は国民健康保険に入る方法もあります。

なお失業保険を受給できるのが2ヶ月後になりますので、保育園を継続できる期間を確認する必要があります。すぐに再就職できなくて求職中でも保育園の継続は可能です。ただし求職中でも保育園が継続できる期間が各自治体で決まっています。

例えば私の住んでいる自治体はママが退職して求職活動をする場合、3ヶ月間は保育園を継続することができます。

求職活動をして就職が決まらなければさらに3カ月延長でき、合計6カ月間は求職中でも保育園を継続することができます。

その場合、失業保険の受給開始に2カ月かかるため、最長であと4カ月間(120日)失業手当を受給して再就職するということになります。保育園の継続期間については各自治体によって異なるため必ず確認する必要があります。

ただし、失業手当が受給できる期間は雇用保険に加入していた期間のよって異なります。以下は自己都合で退職した場合の失業保険が受給できる期間についての表になります。

このように雇用保険の加入期間が10年未満では90日、10年以上で120日になります。できる限り失業保険をもらいたい人は給付日数も考慮して再就職を考えましょう。

退職すると税金は自分で支払う!税金の支払い法

育休明けで退職し、今まで給料から天引きされていた税金を自分で支払うことのなるのですが、支払う税金は主に所得税と住民税の2つあります。

まずは所得税ですが、個人の所得に対して課せられる国に支払う税金です。会社員であれば毎月の給料から天引きで支払っています(源泉徴収)。そのとき1年間の所得が確定する12月に年末調整を行います。

それにより想定よりも所得が少なければ税金が還ってきますし、多い場合はその分の税金を納めることになっています。そのため転職して再就職までに期間があいて年末調整を受けられない場合、自分で確定申告をする必要があります。

・その年の途中で退職し転職をした場合

退職した前職で源泉徴収を提出して年末調整を行ってもらいます。その場合は確定申告をする必要はありません。

・その年の途中で退職をして転職をしていない場合

年末調整を受けていないため、自分で確定申告を受けることになります。確定申告を受けるためには、源泉徴収票を発行してもらう必要があります。

・退職金がある人は退職金に対して所得税を支払う

退職金がある人は「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することで所得税率を低く計算してくれます。

もしこの「退職所得の受給に関する申告書」の提出を忘れてしまった場合、確定申告を必ず行うようにしましょう。確定申告をしなければ通常の退職所得は所得税を多く計算されていますので、払いすぎた税金が還ってきません。

そのため必ず「退職所得の受給に関する申告書」の提出、または確定申告をすることが税率を安くするためには大切です。

住民税の支払いは退職時期によって異なる

では次に住民税の手続きが必要ですので解説して行きます。住民税の納付方法は、所得税と同様で会社に勤めていたときは給料から天引きされています。

住民税は前年の1月から12月までの1年間の所得に対して課せられる地方自治体に支払う税金で、納税は翌年の6月から翌々年の5月までになります。例えば以下は2020年の住民税の支払いについての表です。このように2020年に課せられた税金の納税は2021年の6月から1年間になり後払いすることになっています。そのため退職する時期により支払い方法に違いがありますので解説していきます。

・退職後1カ月以内に就職する場合
転職先で継続して特別徴収(給料からの天引き)してもらうことが可能です。転職先の総務課に確認するようにしましょう。

・退職月が1月~5月の場合
退職月から5月までの住民税が一括徴収され、最終月の給与や退職金から天引きされます。

・退職月が6月~12月の場合
退職月分の住民税は天引きされますが、残りの5月までの分は自分で納付しなければなりません。退職後に納付書が自宅に届きますので、それで支払いをします。

このように退職時期によって税金の支払いも変わりますので、手続きをする際は注意が必要です。

まとめ

今の職場では育児との両立が困難な場合、育休明けで退職するママはたくさんいます。そのときすぐに転職先に就職できればいいのですが、就職するまでに期間があいてしまうこともあります。

退職から次の就職までの期間、自分で社会保険に加入する必要があるのですがどの保険に加入すればいいのか迷うことがあります。

ここで社会保険や失業保険について学ぶことで、高い保険料の支払いを避けられたり扶養に入っていても失業保険の受給を受けられる場合があります。

また転職先の給料が前職より下がったり転職先が決まるまでは無給であったりします。そのため少しでも保険料を抑えて受け取れるお金を増やすことが、安心して転職活動をするためには大切になります。

 

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